水玉の幻想

カレル・ゼマンのアニメーションはみてない。3000円と思いのほか高いが、大学時代に若気の至りで買ってしまった1冊。とはいえ、いまだに棚にあることを思い出すので、意外と気に入っているのかも。沼田元気はスーベニールシリーズが人気だけど、そっちはそれほど好きじゃない。ガイドブックっぽいくせにガイドがないし、どう受け取っていいのかわからない。
一方、「水玉の幻想」は水をテーマとした写真と画と言葉とをコラージュした世界があふれんばかりに広がっている。意外とページ数が多い。真ん中に穴が開いていて、ただの本ではなく、アーティストブックの貫禄。ページをめくると、なんだろー小学校のときの、プールの底の手触りや、夏休みの水遣り当番のときの、ホースから水が出る様子や、アスファルトの暑さ、水のぬるさ、せみの音。気だるい夏休みを思い出すかんじ。本という媒体でこれほど独特の存在感があるものが作れるなんてすてきだなぁと思う。
水玉の幻想