TOMORROW 明日

夏空になるとこのシーンのことを思い出す。エンディング直前の、ヤエがふと立ち止まって見上げる、真夏の日差しが照りつける青空の景色。
終戦直前の昭和の普通の人たちのつつましく穏やか日常生活。ヤエはささやかな祝言を挙げ、ツル子は出産を控えている。そんな中、8月9日は刻々と迫っている。
原爆が投下される前日から1945年の8月9日午前11時2分までの長崎を描く。映像が穏やかであればあるほど、監督黒木和雄の強いメッセージが伝わってくる。こんなにきれいにメッセージを表現できている映画はないと思う。つらい映画なんだけど、市電がのんびり走り、シスターが道を歩く長崎の光景や、普通の人たちの生きる姿がそれ以上に良くて、何度も見てしまう。
『父と暮らせば』は舞台劇っぽくてそこまで好きじゃなかった。『紙屋悦子の青春』は良いけど丸い。『美しい夏 キリシマ』もみてみなきゃな。
TOMORROW 明日 [DVD]